仕事の職人化と離職のリスクについて
私は製造業の会社に勤めているのですが、これはまずいよなぁ、と感じている問題があります。
それは職人文化です
職人をポジティブに捉える人がいるかもしれませんが、私は企業活動においてはネガティブに捉えています。
- 職人文化の問題点
- 構想中の改善方法
この2つについてまとめます。
職人文化の問題点
私は設計部門に所属しているのですが、ここでは勘・コツ・経験に基づいた進め方が蔓延しています。
いえ、というより経験に頼らなければ設計できないのです。
製品の小型化が進んで設計難易度が上がっているのに対し、
どうすれば設計難易度を下げられるのか
議論がされていません。
少しずつ経験を積み、その蓄積があるから難易度の高い製品であっても何とか設計できるというのが現状です。
一見問題無さそうですが、実際は複数の問題があります。
- 育成年数がかかる
- 中途採用が即戦力とならない
- 管理職になるためベテラン設計者が消える
- 長時間残業
- 離職率が高い
1人前になるまでの期間が5年ぐらいかかるの対し、
- それまでに辞めてしまう
- 数年で管理職となり設計から離れる
といった問題があります。
難しいことを難しいままやっているため、長時間にも繋がり、離職率も高めです。
職人文化の改善
この問題を改善するために、構想を練っています。
考えている対策としては3つあります。
①難しいことをやってはいけない文化の醸成
まずは職人文化を否定します。
職人文化が評価されない、その逆の仕組みが評価されるようにインセンティブを変更します。
現状、成果報告や昇格審査では、新しいことや難しいことをした人が高く評価される仕組みになっています。
これを変えます。
具体的には難しい課題にぶち当たった場合には、それを如何に簡単に変えたのか、を評価します。
反対に難しい条件をそのままに、ギリギリの設計となった場合には上長の評価を引き下げる仕組みを導入します。
②分業によるブラックボックス化の回避
設計業務を分業することで、技術のブラックボックス化を避けます。
現状の問題として、1つの製品には多数の機能があるのですが、若手設計者が詳しいのはせいぜい1つか2つで、その他は何となく理解している状態になっています。
管理職(ベテラン)であっても、全てを理解していることは稀です。
よく分からないけれど、
とりあえず設計できる
部分が多いのです。
これを続けていては、勘・コツ・経験に頼らざるを得ません。
そこで、機能設計を分業制にしていくのです。
分業化すれば、特定の機能の専業となり、その機能を研究するインセンティブが出てきます。
その機能の設計手法を確立すれば、仕事時間を大幅に短縮できるためです。
分業化(専業化)により各機能の研究を進め、ブラックボックス化を避けます。
③ベテランの継続登用で技術レベルを高める
現在の昇進方法は人事部門が握っており、事務職よりの考え方になっています。
昇格にはマネージャー職と専門職の2つがあるのですが、その間はありません。
役員を目指すにはマネージャーになる他無いため、とりあえずマネージャー職に進みます。
専門職に未練があっても、マネージャーを希望する人が大半です。
しかし、マネージャーになったら設計を行うことはありえません。
つまり、ベテラン設計者を1人失います。
ベテラン設計者はノウハウもありますし、教育者としても重要です。
ベテラン設計者が増えれば、②のブラックボックス回避にもつながります。
この対策としては、期間限定の専門職の導入があります。
専門職=役員になれない、ではなく、期間限定で専門職を続け、自動的にマネージャー職になる昇進方法を設定します。
制度を新しくして、ベテラン期間を伸ばすことでブラックボックス対策を避けるように仕向けてやるわけです。
≪関連記事≫